おもえば今から２６年前、基地の街福生にすごい刺繍屋さんがいると聞きつけオーダー
したのがこのジャンパーです。まだまだ駆け出しの糸の運びもわからない私にこの刺繍は
衝撃でした。生き生きとした龍の目と、今にも掴みかからんとするような躍動感、こんな仕事が
できる人がこの世にいるんだ、と感嘆のため息をついたものです。生きてるうちにこんな仕事は
できっこない、と打ちのめされました。でもその時父が行った言葉にハッと我に返りました。
「やる前から何をあきらめてやがる！片手に指が６本ある人しか出来ない仕事なら仕方ないが
そうじゃあないだろう」
そうです。そうなのです。全く同じことが出来なくたっていいのです。全くおなじ刺繍をしたって
それはその人の物まねでしかありません。それよりキリーでしかできないことを追い求めて
それで渡り合っていけばいいのだと、気づかされました。いまでも当店の原点がここにあります。
５８の手習いで始めたこのブログも明日から三年目に突入します。
書き溜めはせずに４日から新たな気持ちでまた皆さんにご挨拶したいと思います。
今年一年のご愛顧本当にありがとうございました。